夜の水温

日記とサイトのお返事用

同人誌『蠍の心臓』あとがき

1月インテで出したオプケイ本のあとがきというかネタバレというか。とても長いです。

 

オプケイのなれそめが書きたいな、というぽやっとした気持ちは元々あって、そんな時ふと「こんな台詞を言わせたい」というのが浮かんだのでそこからプロット未満のメモを書き始めて、ちょうど洋画オンリーも大阪で予定されていたのでヨッシャ本作ろう!の気持ちで執筆を始めました。

余談ですが、私はイベント合わせで作ろう!のほうが途中で投げ出さずに済むタイプです。
コロナ禍の時期は鬱憤もあり、イベント予定もないのに本を作ったりしていましたが、あれはかなり稀なことだなと思う。

そんなわけで書きたかったのはとにかくなれそめ!という点と、二人だけではなくてボッツたちもまとめて家族同然になっている様子、でした。
そこは概ね書きたいものを書けたかなと思っています。
ただ、結末として結ばれる二人であることには変わりないのですが、じつは当初の展開は完成稿とは違っていました。

最初に浮かんでいたのは、ケイドがオプに対して「俺が死ぬまで地球にいてほしい。せいぜいあと50年くらいだからあっという間だろ?」的な台詞から、オプからの「永続的に地球を守ってくれ、ではなく何故君が死ぬまでの期限を提示する?」という問いを経て、「縛りつけたくはないけどそばにいてほしいから」そういう言い方になった…という流れのオチでした。ケイドから告白していますね。
読んでいただいた方にはお分かりかと思いますが、全然違う展開になっています。
初めはこのオチだけ先に書いてここに持っていこうとしていたのですが、頭から書いていくうちになんか違うな?となって、あまりプロットの意味がないことになりました。
(まぁ私のプロットはいつもすごく大まかで決めていない部分も多いので、入れたかったシーンを省いたり、ちょっとした加筆が気付いたらかなりの分量になっていたりとか、そういうことはよくあります)(でもこれボツ!と決めてがーっとバックスペースキー押すのは毎回勇気が要る)

最初、地球にいてほしいとケイドが言うのに対して、オプはオプで「ともに(サイバトロンに)来てほしいと言ったらどうする」と問う予定だったのですが、それも無しに。
(ちなみに、その問いに対してのケイドは即答で一緒に行くよと答えています)

最初の私の頭の中のケイドは、どうせ死に別れるんだから今だけは望もうとしていたんですが、書き進めるうちにすごく頑なになって口を閉ざしてしまいました。
これは多分に私の癖が入り込んでいます。
自分は相手に相応しくないと決めつけて閉じこもる展開が好きなので、オプケイでもそれを書いてしまった感じですね。
他のカプなら、片割れがきちんとアタックをするのですが、今回のオプは自覚しつつも何も言わないし行動しないひとでした。それは何故なのか?の部分をちゃんと掘り下げられなかったのが少し心残りではあります……。
ケイドは「自分もtfを裏切った人類の一人であること」「オプに人間を殺させたこと」が負い目になっていたのですが、オプのほうの「想いを告げない理由」をちゃんと書かなかったなとちょっと反省。これ以上巻き込めない、というのが理由なんだとは思うのですが、彼の言葉で語らせることがあんまりできませんでした。
まぁそのぶんケイドをいかに信頼しているかを熱弁してくれたおかげで二人の関係が進んだので結果オーライです。

プロットメモの時点で書きたいし読みたいなと自分でも強く思っていたのは以下の点。
・ボッツ四機にオプを頼んだぜと任されるケイドと、いつのまにか全員がケイドの味方になっていたのでオプに対してはちょっと当たりがキツい四機
・スパークを晒して触れさせようとするオプ
ここらへんは文字数も多いし「こいつ楽しんで書いてるな……」というのがわかりやすくて自分でも面白いです。

あと、思いのほか増えてしまったのがレノックスの出番ですね。
私の脳内にはアイレノが同時に生息しているのですが、ひとつの話に複数のカプを存在させるのは自分で禁止しているので、「アイレノのレノックスじゃないレノックス」の塩梅が難しかったです。オプとケイド両方の理解者ポジに落ち着きましたが、ここにアイレノを持ち込んでいたら、ハイドのことを思い出して「後悔のないようにな」とか言わせてしまっていたと思います。冷静に踏みとどまった私偉い(拍手)

私は私の書く小説が好きなので、読み返すたびに「最高の小説を書いてくれてありがとう!」の気持ちになります。
読むに耐えうる程度の文章力が自分にあって良かったなと思う。といっても言語化が上手いわけではなくて、語彙も全然ないし、言い表したいことがそのとおりに書けなくて苦しいことも多いんだけど、でもやっぱり書くのは楽しいんですよね。
上手く書けた!と感じる瞬間の興奮と喜びはほんとにすごくて癖になるしその箇所を読み返すたびに書いて良かったの気持ちが強くなるのです。

最初に思いついた言わせたい台詞は結局不採用になったし、改めてプロット見たらあれもこれも書きそびれたな、というのはあるのですが、書いていく中でベストな文章が固まっていった結果だし満足を実感しているので、本当に書き上げられて良かったです。

本の形になる喜びについてもいつか語りたいですね。紙とか箔とか色々調べて、実物を手にした時の感動はすごいので……。
話し出すと長くなるのでまた今度にします(笑)

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!